黒鯛(チヌ)落し込み釣りの最も重要な項目として餌の選択が上げられます。基本的には季節を問わず、フィールドに付着している餌を選択するのがベーシックな方法とされていますが、冬季になり水温の低下と共に足元に付着していた餌は激減し、餌の選択に困惑するのではないでしょうか!? しかし近年は釣り方も進化し、冬季にパイプや虫餌を使用しての釣果が得られるようになってきました。今回はその中でも虫餌の代表格である青コガネにスポットを当て、
青コガネ-120170216堺浜-1 
 
 
 
 
 
 

冬の前打ちにおけるワームゲームの面白さを紹介してみましょう!
  
虫餌は簡単でもあり難しい!?
  
 ひと昔前の黒鯛(チヌ)落し込み釣りでは冬季は釣れないものとされていましたが、90年代後半に虫餌としての位置付けである通称パイプ(カンザシゴカイ)の出現により冬でも釣果が得られるようになりました。しかしながらパイプの成育は不定期であり、その年により採取できない場合や採取できても場所が限定されるなどの難点があります。そこで手軽にいつでも供給できる餌として注目を浴びたのがヨーロッパ産の青コガネでした。
20160410たまや渡船(ベイト)パイプ(左)と青コガネ(右) 
 
 
 
 
 
 
 
 さて、この青コガネのメリットは!?といえば生き餌特有のアピール度が高いこと。虫餌のなかでは低水温に強く圧倒的なボリューム感を誇り、多数の付属肢が微妙に動き、釣り人側がアクションをあたえることなく、魚に存在をアピールしてくれます。
そして軟らかく食い込みの良い餌なので、冬季の活性が低い時や春の水温が不安定で食い気にムラがある状況でも口を使ってくれる貴重な餌となります。しかしワーム系の餌全般にいえることですが長さがあるため、前アタリから本アタリに至るまでの時間を要し、バイト中に違和感を感じると口から離されしまう難しさも存在します。
 こうしてみますと青コガネってなんてゲーム性の高い餌なのかおわかりいただけたでしょうか!? 次では効果的に黒鯛(チヌ)の口に針を掛けるまでのプロセスを考えてみましょう。
  
青コガネの効果的な釣り方は?
  
 まず青コガネが有効なフィールドは、やはり多毛類(ゴカイ類)が多く生息しているところ。砂や泥の中に生息する習性から、ハードボトムより砂・泥質底から形成されるフィールドが最適な条件となるでしょう。このようなことからテトラの前打ちでは基礎石上にある際のテトラよりも、沖合いにある砂・泥上のテトラをメインに釣りを組み立て展開する方がアタリを多くもらえます。
 次に青コガネによるフッキングですが、ノッコミの食い気が多い時期には頭から攻撃する場合も多く、ひたくるようなアタリで難なくフッキングに持ち込めるのですが、厳寒期の水温低下で活性が低い場合は尾尻からゆっくりと食べる傾向があります。厳寒期のアタリとしてボトムでの展開ではラインがわずかに動く、穂先が少しもたれるなど違和感を感じる程度の小さな前アタリ後にゆっくりと本アタリに移行していきます。本アタリの場合は魚が食い込み少しでも動けば穂先に明確なアタリが出るのですが、ほとんどの場合は居食いが多く、針が魚の口に入ったタイミングを想像しながらの聞きアワセが主体となるでしょう。
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そして注意すべきは水温低下で活性が低い場合はよく動き高アピール度の尾からゆっくりと食い始めます。この時、黒鯛(チヌ)が何らかの違和感を感じてしまうと青コガネを離されてしまいます。仕掛けを回収すると尻尾が噛まれたことにより白く変色するのがこの場合です。ラインテンションを抜いた状態でアタリを待ち、違和感をあたえない展開がフックアップに持ち込める最善策でしょう。またどうしても前アタリがあっても餌を途中で離されてしまう時は青コガネの中央部分に針をつけるワッキー掛けが有効です。
20160128尼崎港(青コガネワッキー) 
 
 
 
 
 
 

ハリスに絡まりやすくなるデメリットもありますが、よりアピール度が高い動きになり、尻尾から針までの長さが短くなるので針が魚の口に入る時間が短くフックアップの確率が上がります。ここでのポイントは針先を尻尾に向けることで口の中で針先が刺さりやすくなります。
 さて、水温が低く低活性な時期に長い虫餌を使うと「待ちの釣り」が色濃く展開されます。次ではセンシティブなWORM GAMEに適したタックルを紹介しましょう。

虫餌のタックルを考える。
 
 虫餌でのタックル全般で優先されるのは「食い込みの良さ」です。ロッドでは「乗せ調子」といわれる1番(穂先)と2番(穂持ち)が軟らかくしなやかなものが良く、ダイワではF(フィネス)タイプが適しており、次いでT(タフ)タイプとなります。
20160723野島防波堤(前打ちF-53UM)20160117西宮港(前打ちT-63UM) 
 
 
 
 
 
 

これ以上強いタイプになると食い込ませるためのラインスラッグを常に意識したラインメンディングが強いられ高い技術が必要となってきます。次に仕掛け全体で一番重量のあるオモリは食い込み時における違和感に最も起因します。ガン玉をハリスに付ける際には中通しオモリのごとく割り部分の上部だけをつぶして誘導できるように工夫します。
  
 さて、年間を通して青コガネの出番は少ないですが、水温低下で低活性な魚を相手に難しく繊細な虫餌の釣りは、ゲーム性も高く私達釣り人に寒さを忘れさせ熱くしてくれます。冬の寒い時期だからこそ楽しめるWORM GAMEの世界にどっぷりハマってみてはいかがでしょうか!?
  
  
  
  
更なる一匹を求めて・・・